日本最古の鳥居

成沢八幡神社の石鳥居
成沢八幡神社の石鳥居の画像
様 式 ・明神鳥居
形 状 ・総高436cm、柱は径95.5cm
材 質 ・石造(凝灰岩製)
場 所 ・山形県山形市蔵王成沢
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備 考 ・成沢八幡神社の石鳥居は近くにあった羽黒派修験「三蔵院」が所有した古文献によると天仁2年(1109)に「瀧山」の空清水から採石し造立した旨が記され、同地には採石の跡が見られ、さらに鳥居の形状からも平安時代後期に造立した事が間違い無いとされます。

以上の事から、成沢八幡神社の石鳥居は造立年が明確な鳥居としては日本最古と目されています。

瀧山は平安時代初期に名僧として知られた行基菩薩が開山し、仁寿元年(851)に慈覚大師円仁が再興したと伝わる信仰の山で、平安時代後期から鎌倉時代初期にかけて最盛期を迎え信仰を広げました。

当、石鳥居は上記の「瀧山」の登拝道に設けらたと推定されますが、天喜5年(1057)に当時の鎮守府将軍だった源頼義が前九年合戦の平定の戦勝祈願をする為に石清水八幡宮から御霊を勧請し開創されたと伝わる成沢八幡神社が創建すると、成沢八幡神社の鳥居として移設されたとの伝承が残されています。

成沢八幡神社の石鳥居は貴重な事から国指定重要文化財に指定されています。

参考:全国にある歴史的(遺跡・遺構・遺物・建造物)

元木の石鳥居
元木の石鳥居を撮影した画像
様 式 ・明神鳥居
形 状 ・総高351cm、柱は左径97.1cm、右径92.3cm
材 質 ・石造(凝灰岩製)
場 所 ・山形県山形市鳥居ヶ丘
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備 考 元木の石鳥居は成沢八幡神社の石鳥居のように文献で記されている訳ではありませんが、天延年間(973〜976)に瀧山大権現へ奉納されたという伝承が残され、成沢八幡神社の石鳥居と粗同形状である事から、平安時代後期の同時期に造立されたと推定され、当鳥居の方を日本最古とする説もあります。

瀧山信仰の象徴的な存在で、当時は似たような鳥居が幾つも建てられた独自の石造文化のようなものがあった可能性が感じられます。

伝説によると保元3年(1158)には西行法師が瀧山登拝に臨む際に元木の石鳥居を訪れ「瀧の山 かへりまうでの 袖ふれて いしの鳥居も 細らぎやせし」の歌を残したと伝えられています(上山藩の儒学者五十嵐于拙が詠った歌との説もあります)。

元木の石鳥居は貴重な事から国指定重要文化財に指定されています。

元木の石鳥居の動画

清池の石鳥居
清池の石鳥居を撮影した画像
様 式 ・明神系八幡鳥居
形 状 ・高さ3.87m、笠木の長さ5.91m、幅3m、柱の太さ2.79m
材 質 ・石造(石英粗面岩質角礫凝灰岩)
場 所 ・山形県天童市荒谷
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備 考 清池の石鳥居は上記2つの鳥居が瀧山への参詣道に設けられたと推定されているとは異なり、山寺立石寺の鎮守社である日枝神社に対しての鳥居と考えられています。

現在の建立されている位置はかなり中途半端ですが、当時は出羽国府へと続く官道と、山寺立石寺の境内を結ぶ枝道があったと推定され、その道を跨ぐように建立されていたようです。

現在は貫や束は失われてしまいましたが、その痕跡である差し込んだ穴が残されています。

一方、形状は上記2つ鳥居と類似点が多い事から平安時代後期に造立されたと推定され、以上の3基が平安時代の鳥居とされます。

又、清池の石鳥居は「元木の鳥居」、「成沢の鳥居」と共に最上三鳥居の一つに数えられています(文献によっては清池の石鳥居では無く「六田の鳥居」を挙げる例もあります)。

清池の石鳥居は貴重な事から山形県指定文化財に指定されています。

清池の石鳥居の動画

四天王寺石鳥居
四天王寺石鳥居:画像
様 式 ・明神鳥居
形 状 ・高さ8.50m
材 質 ・石造(花崗岩)
場 所 ・大阪府大阪市天王寺区四天王寺1丁目
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備 考 ・一般的に鳥居は神社の聖域と日常空間と別ける結界的な役割を持ちますが、四天王寺では神仏習合時代に極楽の東門と考えられ早くから木造鳥居が設けられていたとされます。

永仁2年(1294)に当時の別当である忍性が石造鳥居に建て替えられたと伝えられ、銘記は無いものの鳥居の形状から鎌倉時代後期に造立されたと推定され、山形県内の三基の鳥居以外では最古と目されています。

当時の四天王寺の境内のすぐそばまで海岸線が迫っていたとされ、境内から鳥居越しに見える海の先には西方極楽浄土があるとの教えから嘉暦元年(1326)には「釈迦如来 転法輪処 当極楽土 東門中心」と記された銅製の扁額が奉納されています。

鳥居の位置も春分の日と秋分の日に境内から鳥居を見ると夕陽が中央を通って六甲山系と淡路島の真ん中に沈むように計画されており、「日想観」法要が執り行われます。

四天王寺石鳥居は貴重な事から国指定重要文化財に指定されています。

又、四天王寺の鳥居は安芸宮島の厳島神社大鳥居、吉野の金峯山寺の鳥居と共に「日本三大鳥居」に数えられています。

葦守八幡宮八幡神社鳥居
葦守八幡宮:画像
様 式 ・明神鳥居の柱の基部に稚児ちご柱を伴う両部鳥居
形 状 ・高さ4.30m、柱の芯々3.4m
材 質 ・石造(花崗岩)
場 所 ・岡山県岡山市北区下足守
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備 考 ・葦守八幡宮の鳥居は銘記がある最古の鳥居で、柱の中央に「康安元年辛丑十月二日、願主神主賀陽重人」、右側に「大工沙弥妙阿」、左側に「祝主僧頼澄」と刻まれています。

このように、造立年、制作者、発願者が明確なのは資料的な価値が非常に高く国指定重要文化財に指定されています。

制作者の「妙阿」は岡山県岡山市北区上高田に鎮座している皷神社の境内にある宝塔に「大勧進沙門正円、貞和二年十月二日、造立元大工妙阿」の銘がある事から同一人物が制作したと推定され、名工として様々な石造物の制作に携わった可能性があります。

酒滴神社の石鳥居
酒滴神社の石鳥居
様 式 ・明神鳥居
形 状 ・高さ5m
材 質 ・石造(波豆産の石英粗面石)
場 所 ・兵庫県三田市藍本字大丸
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備 考 ・酒滴神社の石鳥居は島木に「応永二歳乙亥三月願主丸部貞国」の銘が刻まれている事から造立年が応永2年(1395)で、発願者が丸部貞国が判り、銘記がある鳥居としては上記の葦守八幡宮の鳥居に次ぐ古さを誇ります(不兵庫県内では最古)。

制作者は不明ですが波豆産の石英粗面石が使用され波豆八幡神社の鳥居と類似点が多い事から波豆の石工によって製作されたと推定されています。

貫は元禄2年(1689)に修復した際に後補されたもので、「元禄二歳己巳三月上旬貫中興」の銘が刻まれています。

酒滴神社の石鳥居は貴重な事から兵庫県指定文化財に指定されています。

波豆八幡神社石造鳥居
波豆八幡神社石造鳥居
様 式 ・明神鳥居
形 状 ・高さ約375cm
材 質 ・石造(波豆産の石英粗面石)
場 所 ・兵庫県宝塚市波豆字谷田東掛
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備 考 波豆八幡神社石造鳥居は額束の背面に「応永廿二乙巳四月四日」の銘が刻まれている事から応永32年(1425)に制作された事が明確で、銘記がある鳥居としては上記の2基に次ぎ、兵庫県内では酒滴神社の石鳥居に次ぐ古さを誇ります。

当初は別地に建てられていましたが、昭和初期に千苅ダムの嵩上げ工事に伴い現在地に遷されています。

形状は一石から笠木と島木を彫り、中央で繋ぎ、端部が緩やかな曲線を描く古代の特徴を伝える一方、幅に対して高さがある洗練されたホルムは近世を感じさせる過渡期とも考えられます。

波豆八幡神社石造鳥居は貴重な事から兵庫県指定文化財に指定されています。

又、波豆八幡神社が当地に遷座してきた際には鳥居だけではなく、三尊種子板碑や五輪塔、宝篋印塔、笠塔婆塔身等、数多くの石塔群も遷されており文化財指定されています。

波豆八幡神社の石鳥居の動画

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